WiMAX通信サービスを提供している企業は、「プロバイダ」と呼ばれています。
しかし、WiMAXにプロバイダは存在しません。
「じゃあ、なんでプロバイダって呼ぶの?」と思われるかもしれませんが、その原因は「プロバイダ」という言葉を使う人と聞く人、それぞれの認識の違いです。
プロバイダとMVNO両者の解説を踏まえて見ていきましょう。
プロバイダ?MVNO?いったいなんのこっちゃ?
そもそもプロバイダとかMVNOという言葉をあまりよく知らないという人もいるかと思います。
なのでまず初めに、プロバイダとMVNOについて説明しますね。
ことわざの「急がば回れ」の通り、一つ一つ理解していくと、全体の理解もスムーズにいきます。
プロバイダとはなにか
プロバイダとは、英語で「Provider」と書き、「供給者」や「調達者」などを意味します。
そして、昔からプロバイダと言う場合のほとんどは、「インターネット接続事業者」を意味します。
また、インターネットサービスプロバイダ(Internet Service Provider)やISPと略して呼ばれることも多いです。
「プロバイダって聞いたことはあるけど、よく分らん!」という人がほとんどだと思います。
なので、プロバイダの役割を理解して、イメージをしやすいものにしましょう。
プロバイダの役割
端的に言うと、プロバイダはインターネットへの接続を提供しています。
「いや、よく分らん」というのが感想かと思います。
ですので、ここからは「インターネットへの接続」を説明していきます。
インターネットへ接続する=世界中の端末と繋がる
インターネットというのは、不思議な魔法を用いて、超能力のテレパシーのように、データのやり取りができているわけではありません。
世界中のインターネットに接続された端末は、確かに繋がっているのです。
そして、インターネットは「ネットワーク同士のネットワーク」であり、そのネットワークとネットワークを繋げるのがプロバイダの役割です。
もっと言うと、プロバイダ同士の繋がりがインターネットを構築しているとまで言えます。
つまり、あなたのパソコンは「あるネットワーク」に繋がり、その「あるネットワーク」をプロバイダが中継して「他のネットワーク」に繋げることで、その「他のネットワーク」に繋がる誰かのパソコンとデータのやり取りが可能になるのです。
ゆえに、固定ブロードバンドを使う場合は、回線を契約するだけでなく、プロバイダとも契約しないと、インターネットへ接続することができない、という訳です。
- プロバイダ(インターネット接続事業者)はネットワーク同士を繋げる役割を担う事業者のこと。
MVNOとはなにか
プロバイダについて理解が深まったところで、次はMVNOについてですね。
MVNOという言葉、耳にしたことはあるでしょうか?
最近は、「広告で見たことがある」という人も多いかと思います。
「MVNOが安い!」みたいな宣伝文句もちらほら。
MVNOというのは、「Mobile Virtual Network Operator」の略で、仮想移動体通信事業者を意味します。
簡単にいうと、無線通信インフラを他の事業者から借りて、無線通信サービスを提供している事業者のことを指します。
別の記事でもMVNOについて記載していますので、ぜひ一度目を通してみてください。
イメージとしては無線通信サービスの販売代理店に近いといえるでしょう。
- MVNOは、無線通信インフラを借りて、無線通信サービスを提供している事業者のこと。
なぜWiMAXのMVNOはプロバイダと呼ばれているのか
改めて、プロバイダとMVNOの両者を見比べてみましょう。
- プロバイダ(インターネット接続事業者)はネットワーク同士を繋げる役割を担う事業者のこと。
- MVNOは、他社から無線通信インフラを借りて、無線通信サービスを提供している事業者のこと。
こうして改めて見比べてみると、両者は違うものだという事が分かるかと思います。
前置きが長くなりましたが、やっと本題です。
ではなぜ、MVNOはプロバイダと呼ばれているのでしょうか?
これは、「ISPの定義の中に、インターネット接続事業者とMVNOの両方が含まれる」というのと、「言葉を使う人と聞く人のそれぞれの認識の違い」の2つが原因です。
ISPの定義
ISP(インターネットサービスプロバイダ)は電気通信事業インターネットへの接続に関わる「電気通信役務」を担う組織の事を指します。
電気通信役務とは、簡単に言うと、電気や電波などを使ってデータの通信サービスを提供することを指し、これにインターネット接続事業者とMVNOが含まれます。
そして、ISPは簡易的にプロバイダと呼ばれるのが一般的です。
MVNOが登場する前は、インターネット接続事業者=プロバイダという呼び方が一般的な認識でした。
MVNOが登場してからは、簡易的にISPを表現する「プロバイダ」という言葉が「インターネット接続事業者もしくはMVNO、またはその両方」の意味を持つようになってしまい、「プロバイダ」と言われたときに、どの意味を指しているのか分かりにくくなった、というのが疑問の原因と言えるでしょう。
言葉を使う人による認識の違い
また、中には、あまりISPやプロバイダという言葉を理解せずに、とりあえずプロバイダと呼んでいる人も少なからずいます。
WiMAXのMVNOをしている企業には、もともとプロバイダ事業を行っている企業も多く、そういったものはずっと「プロバイダ」と呼ばれていました。
その名残から、もとからプロバイダ事業をしていて、WiMAXのMVNOもしている企業を「プロバイダ」と呼ぶ人もいます。
また、そもそもプロバイダ(Provider)という言葉は「供給者」や「調達者」などを意味し、何らかのサービスを提供・供給する人や企業は総じてプロバイダであり、そういう意味でプロバイダと呼んでいる人もいます。
要するに、認識の違いで言葉の指す意味がイメージしづらく、あやふやになって分かりづらくなっているのでしょう。
そして、そういう認識の違いはあれど、一般的に認知されて広まったWiMAXのMVNOの呼び方が、「プロバイダ」だったので、その呼び方が主流になっているのでしょう。
誰もが、一つの言葉に共通の認識を持っているわけではありません。
「すみません」を「すいません」と言う人も多くいます。
時代による共通認識や個人の認識の違いで、言葉の持ついイメージは変化していくのでしょう。
「WiMAXにプロバイダ?なんでMVNOの事をプロバイダって呼ぶの?」まとめ
- 従来の一般的な「プロバイダ」という言葉の認識→インターネット接続事業者
- ISPを意味する「プロバイダ」という言葉の持つ本来の意味→インターネット接続事業者とMVNOを含んでいる
この違いを理解しているか、していないか。もしくは、そもそもISPやプロバイダ、MVNOの意味を知らずに使っているか。
これが疑問を生む原因であり、MVNOと言うよりもプロバイダと言った方が多くの人に伝わるので、WiMAXのMVNOはプロバイダと呼ばれているということです。
ちゃんと理解しておいてほしいのは、本来「MVNO」と「インターネット接続事業者を意味するプロバイダ」は別物であるという事と、
ISPにはインターネット接続事業者とMVNOが含まれ、一般的にISPはプロバイダと呼ばれていた、という事です。